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その歌と音からあふれ出すフレッシュなポップミュージックの光輝と、この音楽を鳴らすために生まれ変わったバンドとしての気概が、本作を疑いようのない“名盤”たらしめている。2021年の最後に、これから何年も普遍的かつ独立した求心力を得続けるに違いない“J-POP”が生まれた。まずは、そのことにメンバーへ拍手を送りたい。そう、この『Novel』には、おめでとう、という賛辞がとてもよく似合う。
Salanのメンバーは、すべての楽曲のソングライティングを手がけるボーカルのLenと、ベーシストであり映像作家の顔も持っているKaitoの二人。Lenは2021年の7月まで前身バンドであるジオラマラジオの中心人物としてその音楽人生を紡いでいて、Kaitoもそこに演奏のみならずときにMVもディレクションするサポートメンバーとして参加していた。ジオラマラジオの季節からLenは一貫してバンド形態で追求できるコンテンポラリーなJ-POPとは何か、という命題と向き合ってきた。色あせることを知らないグッドソングを描くということ。多様なジャンルに意識を向けながら音楽家の矜持と美学を死守するサウンドプロダクションを創造するということ。エンジニアとともに今この時代に鳴るべき音像をミックスとマスタリングで見極めるということ。それを繰り返しながらいくつかの作品を残したジオラマラジオはしかし解散を決断し、そしてLenはジオラマラジオで掲げていた理想像を継承しつつも、さらにエバーグリーンな響きをまといリスナーの中に生き続ける比類なきJ-POPを放つためにKaitoとSalanを結成した。
「周りのバンドシーンには本物の人たちがめちゃめちゃいるから、今まではその中でJ-POPをやっている自分をフェイクだなと思うような引け目を感じていた。でも、フェイクだと思うんだったら、ポップスのリアルになればいい。本気でこれを突き詰めたいと思った」
このLenの言葉通り、Salanは本作『Novel』で本当の意味でリアルなJ-POPを追い求め、それを見事なまでに全10曲の中で形象化してみせた。デジタルクワイアを彷彿させる意匠が施された、全身全霊で敬愛する音楽家へ向けた賛美歌でありレクイエムであると感じる1曲目の「Sonatine」から、一気に耳をつかまれて引き込まれる。
〈君は天才なんかじゃない 僕もきっとそうさ〉
〈ずっとずっとJ-POPさ 僕らはずっとJ-POPだ〉
あるいは、アルバムの表題曲でラストを飾る「Novel」では、ジオラマラジオでLenとともにボーカルを担っていた、さかきばらみなを迎え、彼女が泣き笑いをするような声色と軽やかにスキップするような歌いまわしで旋律を編んでいる。その様相は、陽光が強くハレーションするようなポップで切ない楽曲の像もあいまって、抗いがたく揺さぶられる。
〈さらば永遠のパルプ・フィクション 散文の中に見つけ出した本当の輝きを 僕たちメロディに乗せてゆくつもりさ そして悲しみに暮れた 東京の空を見て 泣き出す君の側にいるよ今も〉
いつまでも脳内できらめく郷愁の景色を浮かび上がらせ続ける青春と呼ばれる時間の連なり。たしかにそこに存在していた命や事象。それを死んでも忘れないという執念が躍動するようにして、Salanの楽曲は今ここで生きている理由を、鮮烈なまでに映し出す。
あえて、もう一度書こう。2021年の最後に、これから何年も普遍的かつ独立した求心力を得続けるに違いない“J-POP”が生まれた。そして、2022年がやってくる。
Text by 三宅正一
Salanのメンバーは、すべての楽曲のソングライティングを手がけるボーカルのLenと、ベーシストであり映像作家の顔も持っているKaitoの二人。Lenは2021年の7月まで前身バンドであるジオラマラジオの中心人物としてその音楽人生を紡いでいて、Kaitoもそこに演奏のみならずときにMVもディレクションするサポートメンバーとして参加していた。ジオラマラジオの季節からLenは一貫してバンド形態で追求できるコンテンポラリーなJ-POPとは何か、という命題と向き合ってきた。色あせることを知らないグッドソングを描くということ。多様なジャンルに意識を向けながら音楽家の矜持と美学を死守するサウンドプロダクションを創造するということ。エンジニアとともに今この時代に鳴るべき音像をミックスとマスタリングで見極めるということ。それを繰り返しながらいくつかの作品を残したジオラマラジオはしかし解散を決断し、そしてLenはジオラマラジオで掲げていた理想像を継承しつつも、さらにエバーグリーンな響きをまといリスナーの中に生き続ける比類なきJ-POPを放つためにKaitoとSalanを結成した。
「周りのバンドシーンには本物の人たちがめちゃめちゃいるから、今まではその中でJ-POPをやっている自分をフェイクだなと思うような引け目を感じていた。でも、フェイクだと思うんだったら、ポップスのリアルになればいい。本気でこれを突き詰めたいと思った」
このLenの言葉通り、Salanは本作『Novel』で本当の意味でリアルなJ-POPを追い求め、それを見事なまでに全10曲の中で形象化してみせた。デジタルクワイアを彷彿させる意匠が施された、全身全霊で敬愛する音楽家へ向けた賛美歌でありレクイエムであると感じる1曲目の「Sonatine」から、一気に耳をつかまれて引き込まれる。
〈君は天才なんかじゃない 僕もきっとそうさ〉
〈ずっとずっとJ-POPさ 僕らはずっとJ-POPだ〉
あるいは、アルバムの表題曲でラストを飾る「Novel」では、ジオラマラジオでLenとともにボーカルを担っていた、さかきばらみなを迎え、彼女が泣き笑いをするような声色と軽やかにスキップするような歌いまわしで旋律を編んでいる。その様相は、陽光が強くハレーションするようなポップで切ない楽曲の像もあいまって、抗いがたく揺さぶられる。
〈さらば永遠のパルプ・フィクション 散文の中に見つけ出した本当の輝きを 僕たちメロディに乗せてゆくつもりさ そして悲しみに暮れた 東京の空を見て 泣き出す君の側にいるよ今も〉
いつまでも脳内できらめく郷愁の景色を浮かび上がらせ続ける青春と呼ばれる時間の連なり。たしかにそこに存在していた命や事象。それを死んでも忘れないという執念が躍動するようにして、Salanの楽曲は今ここで生きている理由を、鮮烈なまでに映し出す。
あえて、もう一度書こう。2021年の最後に、これから何年も普遍的かつ独立した求心力を得続けるに違いない“J-POP”が生まれた。そして、2022年がやってくる。
Text by 三宅正一
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